大学生の車の維持費はバイト代で足りる?年間の実額で考える

こんにちは。UNOWNED でレンタル・サブスクを調べているいつきです。

中古の軽自動車なら50万円台から探せる。バイト代を貯めてそこまで届いた。あとは維持費だけ——そんな段階でこのページにたどり着いた方が多いのではないかなと思います。

ただ、その「あとは」がいちばん重いんですよね。車両代は一度きりの買い物ですが、維持費は契約です。乗った月も、レポートに追われて一度もキーを回さなかった月も、同じ額が引き落とされる。ここが車という買い物の特殊なところです。

先に方向性をお伝えしますね。年間の維持費のうち、およそ8割は「乗っても乗らなくても出ていく固定費」です。だから払えるかどうかを決めるのは、燃費のいい車種でも節約テクニックでもなく、任意保険と駐車場という2つの条件、そして月に何回乗るかという使用頻度のほうです。

この記事では、税額や保険の制度、公的な統計といった一次情報を積み上げて、金額を計算式ごと並べます。公的調査による大学生のアルバイト収入とも突き合わせて、そもそも賄える額なのかを確かめます。数値はいずれも前提を置いたうえでのあくまで目安です。

  • 軽自動車を持ったときの月額と年間の実額
  • 学生の任意保険料が高くなる仕組みと下げ方
  • 在学四年間で出ていく総額とバイト代との差
  • 借りて済ませる場合との損益分岐点の出し方

大学生の車の維持費は年間いくらかかるのか

維持費の記事はたくさんありますが、費目を並べただけでは判断できません。「税金がいくら、保険がいくら」と読んでも、それが自分の毎月にどう効くのかが見えないからです。

そこでこの章では、費目を乗らなくても出る固定費乗った分だけ増える変動費の2つに分けて、月額まで落として見せます。そのうえで在学四年間の総額を出し、公的統計にある大学生のアルバイト収入と並べます。金額の話はここで全部終わらせて、次の章で決め方に進みましょう。

維持費の内訳を固定費と変動費に分ける

月額の目安28029〜34695円のうち固定費が月24510円を占め、一度も乗らなかった月でも約2万4千円が引き落とされることを示したスライド
維持費の約8割は乗らなくても出る固定費

結論から言いますね。中古の軽自動車を、月1万円の駐車場を借りて、年5,000km走らせる前提だと、維持費は年間およそ33万6千円〜41万6千円、月あたり28,029円〜34,695円になります。幅があるのは任意保険料を年12万〜20万円で置いているためです。

そして、このうち固定費だけで月24,510円。実家に帰省していて1か月まったく乗らなくても、この金額は出ていきます。

内訳を表にしました。前提は「中古の軽自動車・自家用乗用・年間走行5,000km・実燃費18km/L・月極駐車場1万円」です。

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費目 年額の目安 月額換算 区分 前提・根拠
軽自動車税(種別割) 10,800円 900円 固定費 自家用乗用の標準税率。初度検査から13年経過で12,900円に重課
自動車重量税 3,300円 275円 固定費 軽・自家用の2年分6,600円を年換算。13年経過で8,200円、18年経過で8,800円
自賠責保険 8,770円 731円 固定費 軽の24か月17,540円を年換算。2026年11月1日以降始期は18,660円(年換算9,330円)
車検の検査手数料 1,250円 104円 固定費 軽の継続検査・窓口へ持込む場合2,500円(2026年4月1日から)を年換算
任意保険 120,000〜200,000円 10,000〜16,667円 固定費 全年齢補償・6等級・車両保険なしを想定した目安
駐車場代 120,000円 10,000円 固定費 月1万円で置いた想定。地域差が非常に大きい
ガソリン代 47,222円 3,935円 変動費 年5,000km÷18km/L×170.0円/L
消耗品 20,000〜30,000円 1,667〜2,500円 変動費 オイル・タイヤ等の目安。合計欄では中央値25,000円で固定
合計 336,342〜416,342円 28,029〜34,695円 任意保険の幅がそのまま総額の幅になる

固定費だけを足すと、任意保険を中央の15万円で置いた場合で 10,800+3,300+8,770+1,250+150,000+120,000=294,120円。12で割って月24,510円です。

一方、走った分だけ増える変動費はガソリン代と消耗品の合計で年7万円前後。つまり維持費全体のおよそ8割が、走行距離とは無関係に発生していることになります。「あまり乗らないから安く済む」という発想が効きにくいのは、この構造のせいなんですね。

ガソリン代の計算式も出します。5,000km ÷ 18km/L = 約277.8L、277.8L × 170.0円 = 47,222円。この170.0円/Lは、経済産業省が公表しているレギュラーガソリンの全国平均価格(2026年7月21日時点)です。なお、1L当たり25.1円分のガソリン暫定税率は2025年12月31日に廃止されており、軽油引取税の暫定税率17.1円分も2026年4月1日に廃止されています。以前の記事や試算をそのまま使うと、この分がずれます。

中古車を狙う方に、ひとつ注意点を。初度検査から13年を経過した車は税が重くなる仕組みがあります。軽自動車税は10,800円から12,900円へ、重量税は2年で6,600円から8,200円へ上がります。年式が古い個体ほど車両価格は下がりますが、維持費は逆に上がる。車両価格だけで選ぶと後から効いてきます。

ここでは軽自動車1本に絞って実額を出しましたが、軽と普通車で費目ごとにどれだけ差が縮まっているのかについては軽自動車と普通車の維持費を2026年の税額と料率で並べた記事のほうで整理していますので、車格から迷っている方はそちらもどうぞ。

学生の任意保険料が高くなる仕組み

大学生は全年齢補償かつ6等級スタートで割引率が最も不利になること、月1万円の駐車場は4年間で48万円になることを示したスライド
維持費を押し上げる任意保険と駐車場

学生の維持費で最も大きく、そして最も動かせるのが任意保険です。年12万〜20万円という幅は、そのまま「条件しだいで年8万円動く」という意味でもあります。

なぜ学生は高くなるのか。理由は単純で、年齢条件と等級という2つの割引要素が、同時に不利な位置にあるからです。

ひとつめが運転者年齢条件。自分名義で新規に契約すると、多くの場合「全年齢補償」からのスタートです。21歳以上補償、26歳以上補償、35歳以上補償と条件を上げるほど保険料は下がりますが、大学生はその階段のいちばん下にいます。

ふたつめがノンフリート等級。新規契約は6(S)等級から始まり、無事故なら1年ごとに1等級ずつ上がっていきます。在学中の4年で到達できるのは、事故がなくても10等級あたり。割引率が育ちきる前に卒業を迎える、という時間の問題があります。

もうひとつ、意外と見落とされるのが型式別料率クラスです。軽自動車にも型式ごとに料率クラスが設定されていて、同じ「中古の軽」でも車種によって保険料が動きます。候補が2台に絞れたら、見積もりを2台分取って比べてみてください。

「若いというだけで高いのは納得いかない」と感じる方もいると思います。ただ、保険料は事故の発生確率から逆算して決まるものです。内閣府の公表資料によれば、原付以上運転者(第1当事者)の免許保有者10万人当たりの死亡事故件数は、令和5年中では16〜19歳の層が最も多く、次いで80歳以上が多いという結果になっています(出典:内閣府『令和6年交通安全白書』)。感情の話ではなく、統計の反映だと理解しておくと、条件をどう設計するかに頭を切り替えやすくなります。

見積もりを取るときに確認したい項目を並べます。この7つが違えば、同じ車でも保険料はまったく別の数字になります。

  • 記名被保険者を誰にするか(主に運転する人)
  • 運転者年齢条件(全年齢/21歳以上/26歳以上など)
  • 運転者限定(本人限定/本人・配偶者限定/家族限定/限定なし)
  • ノンフリート等級と事故有係数の適用期間
  • 車両保険を付けるか、付けるなら免責金額はいくらか
  • 対人・対物賠償の設定額
  • 年間予定走行距離と型式別料率クラス

なお、この記事で置いた年12万〜20万円という数字は、あくまで試算を進めるための目安です。実際の保険料は保険会社・補償内容・車両・地域で変わりますので、複数社の公式見積もりで確認してください。正確な情報は公式サイトをご確認ください。

駐車場代が家計を圧迫しやすい理由

駐車場代は、言ってしまえば第二の家賃です。しかも家賃と違って、住む場所を変えないかぎり基本的に下げられません。契約した瞬間に在学期間分の総額が確定すると考えたほうが実態に近いですね。

月極駐車場の料金は地域差が非常に大きく、地方の数千円から都市部の数万円まで開きます。全国平均を出しても、あなたの下宿の周辺相場とはたいてい一致しません。ここは掛け算だけ見てください。

  • 月5,000円 → 4年で240,000円
  • 月8,000円 → 4年で384,000円
  • 月10,000円 → 4年で480,000円
  • 月15,000円 → 4年で720,000円
  • 月20,000円 → 4年で960,000円

月5,000円と月15,000円の差は、4年間で48万円。中古の軽自動車がもう1台買える金額です。車種を悩む時間の何分の一かを駐車場探しに回すほうが、金額へのインパクトははるかに大きいわけです。

◆いつきのメモ

不思議なもので、家賃を1,000円下げるために内見を何件も回る人でも、駐車場の1万円は「まあこんなものかな」で契約してしまうことが多いようです。同じ固定費、同じ毎月払い、同じ4年間なのに扱いが違う。ここは意識して同じ土俵に載せてみてください。

もうひとつ、通学に使うつもりの方に確認をおすすめしたいのが、大学構内の駐車場です。学生の駐車利用については大学ごとに規程が異なりますので、在学先の学生便覧や公式サイトで先に確認しておくと安心です。ここが使えないと、「通学のために買ったのに、実際は自宅と近所を往復しているだけ」という状態になりがちです。

駐車場代を現実的に下げる手を、効き目が大きい順に並べました。

  • 引っ越し前なら、駐車場付き・駐車場込みの物件を条件に入れて探す
  • 入居者向けカーシェアが敷地内にある物件を選び、そもそも所有をやめる
  • 大通りから1本入った月極を探す(同じ町内でも数千円変わることがある)
  • 屋根なし・平置き・未舗装や砂利の区画を選ぶ
  • 大学や職場ではなく、自宅から少し歩く位置の区画にする

ただし「安いから遠くの月極」には上限があります。自動車の保管場所は使用の本拠となる位置から一定の距離以内であることが求められるため、何キロも離れた駐車場は届出の要件を満たしません。距離の基準は法令で定められていますので、契約前に管轄の警察や不動産会社に確認してください。

在学四年間で出ていく総額を計算する

初期費用65万円と4年間の維持費約147万円で総額約192万円になり、車両代は全体の3分の1にすぎないことを示したスライド
車両代は総額のわずか3分の1

ここまでは1年あたりの話でした。実際に必要なのは、在学中に財布から出ていく総額のほうですよね。試算してみます。

前提はこうです。1年生の春に中古の軽自動車を車両価格50万円で購入し、登録・納車・整備・保証などの諸費用が15万円かかったとします。4年間乗って、卒業時に20万円で売却できたとしましょう。維持費は先ほどの中央値、年366,342円で置きます。

計算式は次のとおりです。

  • 初期費用 650,000円(車両50万円+諸費用15万円)
  • 維持費 366,342円 × 4年 = 1,465,368円
  • 売却 −200,000円
  • 合計 1,915,368円(およそ192万円)

ここで見てほしいのは金額そのものより構造です。車両と諸費用の65万円は、総額のたった3分の1。残りの3分の2は維持費です。

つまり、車両価格を10万円値切ることに労力を使うより、駐車場を月3,000円安いところに変えるほうが効きます。後者は4年で14万4千円の差になりますから。

前提を変えると総額がどう動くかも見ておきましょう。実家暮らしで駐車場代がかからず、任意保険を中央値で組めた場合、維持費は年246,342円まで下がります。4年で985,368円、総額は1,435,368円。逆に任意保険が年20万円で駐車場が月1万5千円だと、維持費は年476,342円。4年で1,905,368円、総額は2,355,368円になります。

同じ「中古の軽自動車を1台」でも、条件しだいで総額が約92万円動く計算です。車種選びより先に、保険と駐車場の条件を確定させたほうが早いというのは、この差から来ています。

なお、車両価格50万円・諸費用15万円・売却20万円は、試算を進めるために置いた仮の数字で、実勢価格ではありません。売却額は年式・走行距離・車検の残りで変わりますし、4年乗れば初度検査からの経過年数も進みます。戻ってくる前提で総額を組まないほうが安全です。

本体価格ではなく、配送や設置や処分まで含めた総額で判断するという考え方は、車にかぎった話ではありません。同じ発想を家具に当てはめた例として、ソファーの相場を配送費や処分費まで含めて比べた記事もまとめてありますので、大きな買い物の前に総額で見る癖をつけたい方はのぞいてみてください。

バイト代と仕送りで賄えるかを確かめる

日本学生支援機構の学生生活調査による年間アルバイト収入と維持費を並べ、平均的な学生で収入の72.2%、下宿の学生で77.0%が維持費に充てられる計算になることを示したスライド
アルバイト収入の7割が車に消える

維持費の金額が分かっても、それが払える額かどうかは別の話ですよね。公的な調査の数字と突き合わせてみます。

日本学生支援機構の学生生活調査(令和6年度)によると、大学学部・昼間部の学生のアルバイト収入は年間507,700円(自宅通学 545,100円、下宿・アパート等 476,000円)でした。一方、先ほど出した軽自動車の維持費は中央の想定で年366,342円です(出典:日本学生支援機構『令和6年度学生生活調査』)。

366,342 ÷ 507,700 = 0.722。

大学生の平均的なアルバイト収入に対して、軽自動車1台の維持費は72.2%。バイト代の7割強が、車を持っているだけで消える計算になります。4年で見ると、アルバイト収入 2,030,800円に対して維持費 1,465,368円。残るのは565,432円、月にならすと約11,780円です。

この507,700円は、前回(令和4年度)調査の375,900円から13万円あまり増えた数字です。収入全体に占めるアルバイトの割合も19.1%から25.0%へ上がりました。ただし同じ2年で学生生活費は1,824,700円から2,019,100円へ増えていますので、増えた分がそのまま車に回せるわけではありません。

もう少し細かく、通学形態別に並べたのが次の表です。維持費のほうは、自宅通学なら駐車場が自宅にある想定(年246,342円)、下宿なら月1万円の駐車場を借りる想定(年366,342円)で置いています。

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区分 アルバイト収入(年) 維持費の想定(年) 差額 収入に占める割合
平均 507,700円 366,342円 +141,358円 72.2%
自宅通学 545,100円 246,342円 +298,758円 45.2%
下宿・アパート等 476,000円 366,342円 +109,658円 77.0%

下宿している学生の場合、アルバイト収入の77%が維持費に吸い込まれるという結果になりました。残るのは年10万9千円ほど。実家暮らしで駐車場代がかからない場合の45.2%とは、まったく別の話をしていることになります。

しかも下宿・アパート等で暮らす学生の生活費は、同じ調査で年1,256,700円と報告されています。アルバイト収入476,000円では生活費に届いておらず、家庭からの支援1,240,900円が前提になっている構造です。そこへ維持費366,342円が乗ります。

同じ調査では、学生の娯楽・し好費が年191,400円と報告されています。維持費366,342円は、この約1.9倍。旅行も外食もサークルの遠征費もひっくるめた「楽しみに使うお金」の2倍近くを、車の維持だけに配分することになる、という意味です。

維持費をまるごとアルバイトで賄うなら、どれくらい働くことになるでしょうか。月30,529円を時給1,100円(試算のために置いた仮の数字です)で稼ぐとすると、約28時間。週にならすと7時間ほどです。授業と課題と、その車で通うバイトそのものとの兼ね合いをどう取るか、という話になってきます。

誤解のないように書いておくと、私は「だから持つな」と言いたいわけではありません。言いたいのは順番のほうです。維持費をどこから出すのかを、買う前に決めておく。バイトのシフトを増やすのか、親が保険料だけ持つのか、生活費のどこを削るのか。ここを曖昧にしたまま契約すると、しわ寄せは学業か家族関係のどちらかに出ます。

ひとつだけ補足を。貸与型の奨学金は生活費のための借入で、卒業後に返済義務が生じるお金です。維持費の穴埋めに回すと、その分がそのまま将来の返済に上乗せされます。ここは車の話とは切り離して考えてください。

なお、これらの数値は調査時点の全国平均です。地域や世帯によって大きく異なる目安として読んでください。

大学生が車の維持費と折り合いをつける決め方

ここからは金額ではなく、決め方の話をします。「持つか持たないか」を気分や勢いで決めてしまうと、後から効いてくるのは数字のほうですから。

判断の軸は3つです。①どれくらいの頻度で使うのか ②固定費をどこまで下げられるのか ③支払いの山をどう均すのか。この順に見ていけば、自分の場合の答えは自然に出てきます。所有が有利になる条件もはっきりありますので、そこも数字で示していきますね。

使う頻度から所有の損益分岐点を出す

所有の固定費月24510円を1回あたりの料金で割り、カーシェアなら月9.3回、レンタカーなら月6.8回が所有との損益分岐点になることを示したスライド
回数で出す所有とカーシェアの分岐点

結論から言うと、カーシェアを3時間ずつ使うなら月9.3回、レンタカーを12時間ずつ借りるなら月6.8回が分岐点です。これを超えて乗るなら、所有したほうが安くなります。

計算の根拠はシンプルです。所有の固定費(月24,510円)を、借りる場合の1回あたり料金で割るだけ。

カーシェアは15分220円からという料金体系のサービスがあります。3時間なら 220円 × 12 = 2,640円。24,510 ÷ 2,640 = 約9.3回。料金にはガソリン代と保険・補償が含まれるので、追加費用は基本的に発生しません。

レンタカーは、軽自動車クラスで12時間まで3,630円(一般料金・税込)という料金表の例があります。24,510 ÷ 3,630 = 約6.8回。ただしこちらは免責補償料とガソリン代が別途かかりますので、実際の分岐点はこれより手前に来ます。

学生にとって見逃せないのが、カーシェアの学生向け料金です。あるサービスでは月額基本料金が入会月から4年間無料になるプランを用意しています(在籍証明が必要で、4年経過後は月880円の個人プランへ自動移行するという条件付き)。在学中は基本料金の負担なしで、使った分だけ払う形にできます。

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手段 料金の例 含まれるもの 向く使い方 所有との分岐点
カーシェア 15分220円〜(3時間で2,640円) ガソリン代・保険/補償 買い物・送迎など短時間 3時間利用で月9.3回
レンタカー(軽) 12時間まで3,630円/24時間まで5,390円(一般料金・税込) 車両のみ。免責補償料とガソリンは別 旅行・帰省など丸1日 12時間利用で月6.8回
カーリース(新車軽) 月14,190円〜(税込・頭金なし・自賠責込み・7年以上契約の例) 税金・自賠責 ほぼ毎日乗る・新車がよい
中古購入 車両65万円を48か月で割ると月13,542円 ほぼ毎日乗る・4年で使い切る

カーリースと中古購入も月額に揃えて比べてみます。リースの月14,190円には税金と自賠責が含まれますが、任意保険・駐車場・ガソリンは別です。14,190+12,500+10,000+3,900 = 月40,590円

一方、中古購入は車両と諸費用65万円を48か月で割って月13,542円、これに維持費の月30,529円を足すと月44,071円。両者の差は月3,481円しかありません。

「新車リースと中古購入の月額はほとんど変わらない」という結果は、けっこう意外だと思います。ただ、決定的に違う点がひとつ。リースは契約年数が在学期間より長くなりやすいことです。月14,190円という例は7年以上契約の条件でしたから、卒業後3年以上も契約が続きます。

就職先が都市部で車が不要になる、転勤が決まる、というのは十分ありえる未来です。中途解約金・走行距離制限・返却時の原状回復の条件は、申込前に各社の公式ページで確認してください。

計算して「所有の固定費を下回る」と出たなら、カーシェアは妥協ではなく合理的な選択です。会費や距離料金の条件は事業者ごとに違うので、自分の使い方に当てはめて確かめてみてください。

月額無料の超おトクなカーシェア「EARTHCAR」

使う回数から費用対効果を割り出して、買うか借りるかを決めるという手順そのものは、車以外でもそのまま使えます。同じ考え方を家電に当てはめた例として、ロボット掃除機が本当に必要かを世帯別に試算した記事も参考になるかもしれません。

保険と駐車場から先に固定費を削る

削るならガソリンではありません。任意保険と駐車場です。固定費294,120円のうち、この2つで270,000円。実に約92%を占めています。

ガソリン代を1割節約しても年4,722円。任意保険の条件を見直して年3万円下がれば、その6倍以上の効果です。エコ運転を否定するわけではありませんが、効き目の桁が違います。

打ち手を効果の大きい順に見ていきます。まず親の等級引き継ぎから。任意保険の記名被保険者を親から子へ変更すると、育った等級をそのまま引き継げる仕組みがあります。20等級の親から引き継げれば、6等級スタートとは割引率が大きく変わります。

ただし、等級を引き継げるのは配偶者または同居の親族に限られます。下宿している学生は、住民票を実家に置いたままでも実態として別居と判断されるため、引き継ぎの対象外になるのが一般的です。つまりこの打ち手には「実家に住んでいるうちに手続きを済ませる」という時間の制約があります。進学と同時に車を持ちたいなら、引っ越し前に保険会社へ相談しておくのが現実的です。

次にセカンドカー割引(複数所有新規)。2台目の契約を6等級ではなく7(S)等級から始められる制度です。条件は、①1台目の契約が11等級以上であること ②自家用8車種であること ③2台目の記名被保険者・車両所有者が1台目の記名被保険者本人・その配偶者・同居の親族のいずれかであること ④2台目が初めての契約であること。こちらも「同居の親族」が条件に入っているため、別居の子は対象になりません。

3つめが運転者の範囲です。年齢条件と運転者限定を実態に合わせて狭くするほど保険料は下がります。ただし、条件から外れた人が運転して事故を起こすと補償されません。「たまに友人に運転を代わってもらう」を想定するなら、そこまで含めて設計する必要があります。

4つめが車両保険。車両価格が低いほど費用対効果は下がります。50万円の中古車に車両保険を付けると保険料は跳ね上がりますが、受け取れる保険金の上限は車両価格までです。相手方への賠償(対人・対物)は無制限にしておいて、自分の車の修理費は貯金で持つ、という割り切り方もあります。

5つめが駐車場。前の章で書いたとおり、物件選びとセットでしか大きくは動きません。すでに入居しているなら、少し離れた区画や未舗装の区画を探すのが現実的な範囲です。

ここで正直に書いておきたいのが、「これをやれば必ず安くなる」とは言えないということです。たとえば親の等級を子へ移すと、親は新規契約として6等級からになります。親の年齢条件しだいでは、世帯合計ではむしろ高くなることもある。ですので、必ず世帯全体で見積もりを取って合計額で比べてください。最終的な判断は専門家・販売店・メーカーにご相談ください。

固定費を減らすという発想を暮らし全体に広げたい方には、持つものと借りるものを分けて暮らしを組み立てる方法をまとめた記事も用意しています。車だけでなく家電や家具も同じ考え方で整理できますよ。

税金と車検の支払い月に合わせて積み立てる

車の出費は毎月きれいに均されてはいません。年に何度か大きな山が来ます。山の月にバイト代が足りないと、あっという間に行き詰まる。対処法は基本的にひとつ、月割りで積み立てて均すことです。

まず山の正体を確認しましょう。軽自動車税(種別割)は4月1日時点の所有者に課税されます。納税通知書は5月に届き、納期限は多くの自治体で5月31日です(自治体によって異なりますので、お住まいの市区町村の案内で確認してください)。4月2日以降に手放しても、その年度分は納める必要があります。年度末に車を売るなら、3月中に手続きを終えてください。

次が車検です。2年ごと(新車の初回のみ3年後)にやってきます。法定費用だけでも、重量税6,600円+自賠責17,540円+検査手数料2,500円 = 26,640円。自賠責が2026年11月1日以降始期の18,660円になると27,760円です。ここに点検料と整備費が加わりますし、年式の古い中古車ほど「ついでに交換」の部品が出やすくなります。

任意保険の払い方も山の数に効きます。年払いのほうが総額は安くなることが多いのですが、その分1回の金額が大きい。月払いにすると総額はやや上がるかわりに、キャッシュフローは平らになります。ここは総額を取るか安定を取るかの選択です。

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時期 出ていく費目 金額の目安 積立で吸収すべきか
4月1日 軽自動車税の賦課期日(この日の所有者に課税)
5月 軽自動車税(種別割) 10,800円 する
毎月 駐車場代 10,000円 しない(毎月定額)
毎月 ガソリン代 3,900円前後 しない(使った分)
保険の始期月 任意保険(年払いの場合) 120,000〜200,000円 する
2年ごと 車検(重量税・自賠責・検査手数料・点検整備) 法定分だけで26,640円+整備費 する
不定期 オイル交換・タイヤ・バッテリー 年20,000〜30,000円 する

積立額の出し方(2年ごとの費用は24で、年1回の費用は12で割ります)

車検 66,640円(法定26,640円+点検整備を仮に40,000円と置いた場合)÷ 24 = 2,777円/月
軽自動車税 10,800円 ÷ 12 = 900円/月
任意保険 150,000円 ÷ 12 = 12,500円/月
消耗品 25,000円 ÷ 12 = 2,083円/月
合計 18,260円/月 を別口座へ移しておく

この18,260円に、駐車場10,000円とガソリン3,900円を足すと月32,160円。先ほど出した月30,529円より1,631円高い数字です。差が出るのは、積立の計算にだけ車検の点検整備費40,000円という前提を足しているためで、最初の内訳表にこの費目は入っていません。整備を業者に頼む前提で組むなら、実質的な月額はこちらに近づきます。

「山の月だけ親に立て替えてもらう」運用にすると、車検のたびに家庭内で交渉が発生します。事前に月割りにしておくほうが、お金の面でも関係の面でも消耗が少なくて済みます。

親と費用の分担と名義を先に決めておく

学生の車でトラブルになりやすいのは、事故そのものより「誰がどこまで払うか」を決めずに買ったときだと言われます。よくある失敗例は、最初は「維持費は自分で払う」と言っていたのに、車検の年に払えず結局親が肩代わりする、というパターンです。

防ぐ方法はシンプルです。名義・記名被保険者・支払い担当の3つを、買う前に紙に書き出すこと。

まず名義。車検証には所有者と使用者の欄があります。所有者を親にしておくと、売却や廃車のときに親の書類と押印が必要になります。使用者の住所は保管場所の基準になりますし、軽自動車税の納税通知書は4月1日時点の所有者あてに届きます。どちらにするかで、後の手続きの動きやすさが変わってきます。

次に任意保険の記名被保険者。これは主に運転する人を指します。保険料を下げたいからと親を記名被保険者にしておいて、実際は子がほぼ毎日運転している——という状態は、告知内容と実態が食い違うことになります。ここは実態に合わせるのが原則です。

費用分担については、決め方の型をいくつか挙げておきます。話し合いの叩き台にしてもらえたらと思います。

  • 型A:車両代と諸費用は親、維持費はすべて本人
  • 型B:車両代と任意保険は親、ガソリン代と駐車場代は本人
  • 型C:全額本人、親は保証人としてのみ関わる
  • 型D:帰省時に親も使う前提で、駐車場代と保険料を折半

成年年齢は2022年4月1日から18歳に引き下げられていますので、大学生は原則として単独で契約できます。ただし、契約できることと支払えることは別です。ローンやリースの審査では収入の安定性が見られますから、「契約できたから大丈夫」とは考えないほうがいいですね。

最後に、出口も決めておいてください。使わなくなったときに誰が売るのか、売却代金は誰が受け取るのか。就職先が都市部で車が不要になるケースは珍しくありません。買うときの合意より、手放すときの合意のほうが後々もめやすいものです。

親と決めておく項目をチェックリストにまとめました。

  • 車検証の所有者・使用者をそれぞれ誰にするか
  • 任意保険の記名被保険者と、運転者の範囲・年齢条件
  • 車両代と諸費用の負担者
  • 任意保険料の負担者と支払い方法(年払いか月払いか)
  • 駐車場代の負担者
  • ガソリン代・消耗品費の負担者
  • 車検と税金の積立を、誰の名義のどの口座で行うか
  • 手放すときの手続き担当と、売却代金の扱い

何を基準に持つか持たないかを決めるという物差しづくりそのものについては、減らす基準の決め方を整理した記事のほうで書いています。車に限らず、大きな買い物の前に一度読んでおくと判断が早くなるはずです。

帰省やサークルなど場面別に使い分ける

マイカー、カーシェア、レンタカーそれぞれが向く場面と理由を並べ、すべての場面を1台の所有でまかなうと割高な場面が出ることを示したスライド
場面ごとの最適なモビリティ選択

「車が要る場面」を書き出してみると、実は4〜5種類しかありません。そして場面ごとに最も安い手段は違います。全部を1台の所有でまかなおうとすると、どうしても割高な場面が出てくるんですね。

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場面 頻度の目安 1回の使い方 向く手段 理由
帰省 年3〜4回 長距離・丸1日以上 レンタカーまたは公共交通 高速代と燃料代が距離に比例する。1人なら公共交通が安いことが多い
サークルの遠征・機材運搬 月1〜2回 大人数・積載あり レンタカーのワゴンを割り勘 軽1台では人も荷物も乗り切らない
深夜バイトの往復 週3〜5回 短距離・毎回同じ経路 所有が有利になりやすい 回数が多く、停めている時間が長い
買い物・雨の日の移動 月2〜4回 短時間で完結 カーシェア 15分単位で借りられる
旅行・遠出 年数回 12〜24時間 レンタカーのパック料金 時間あたりの単価が下がる

帰省を例に計算してみます。片道300kmを軽自動車(実燃費18km/L・170.0円/L)で走ると、燃料代は片道約2,833円、往復で5,667円。ここに高速道路の通行料が加わります。1人で帰るなら夜行バスや新幹線と比べてみる価値がありますが、2人以上で乗るなら車が有利になりやすい。人数で割れる費用と割れない費用があるからです。

逆に、所有がはっきり有利になる場面もあります。深夜バイトの往復がそれです。理由は移動距離ではなく、停めている時間にあります

カーシェアは借りている間ずっと課金される仕組みですから、勤務中に駐車場へ停めている5時間分も料金が発生します。往復30分+勤務5時間で計6時間借りると、15分220円なら 220円 × 24 = 5,280円。これが月16回なら84,480円です。所有の固定費24,510円とは比較になりません。

つまり「1回あたりの拘束時間が長く、回数も多い用途」は所有のほうが安い。レンタルやサブスクを扱っているサイトとして正直に書いておきますが、こういう使い方をする人が無理に借りる形にするのは、単純に損です。

◆いつきのメモ

場面を書き出すときは、実際に手帳やスマホのカレンダーを見返して「先月、車があったら使っていた日」に印を付けてみるのがおすすめです。頭の中で数えると、たいてい多めに見積もってしまいますから。印が月8回を超えるなら所有を検討する価値があり、3〜4回で止まるなら借りるほうが総額は安く収まります。

もうひとつだけ。友人を乗せる機会が増えると、対人・対物賠償の設定や運転者限定の条件が効いてきます。ガソリン代を割り勘にすることはできても、事故のリスクを割り勘にすることはできません。同乗者がいる前提なら、賠償額は無制限にしておくのが無難です。

大学生の車の維持費についてよくある質問

大学生でもマイカーローンやカーリースの審査は通りますか?

2022年4月1日から成年年齢が18歳になったため、大学生でも原則として単独で契約できます。ただし審査で見られるのは年齢だけではなく、収入の安定性や継続性です。アルバイト収入のみだと通らないことがあります。その場合の選択肢としては、親を連帯保証人にする、親名義で契約して費用だけ本人が負担する、販売店が扱う自社ローンを検討する、といった形が挙げられます。カーリースにも同様に審査があり、審査基準や必要書類は各社で異なりますので、申込前に公式ページで確認してください。

実家の親の車を借りて乗るとき、保険はどうなりますか?

自分の保険に付いている他車運転特約は、記名被保険者や同居の親族が所有・常時使用する車を対象外としているのが一般的です。つまり実家の親の車には使えないことが多い、ということになります。頼りになるのは親の契約のほうですが、運転者年齢条件が「35歳以上補償」などになっていると、子が運転中の事故は補償の対象外です。帰省前に親の保険証券で運転者の範囲と年齢条件を確認し、条件から外れる場合は1日単位で加入できる自動車保険を検討してください。

一人暮らしの大学生でも車庫証明や保管場所の届出は必要ですか?

普通車は自動車保管場所証明書、いわゆる車庫証明が必要です。軽自動車の場合は証明ではなく「保管場所届出」という手続きになり、しかも全国一律ではありません。県庁所在地や人口10万人以上の市など、適用地域に該当する場合だけ届出が必要です。自分の住む市区町村が適用地域かどうかは、都道府県警察のサイトで確認できます。また保管場所には使用の本拠からの距離要件があるため、遠く離れた安い駐車場は使えない場合があります。

卒業して車を手放すとき、保険の等級はどうなりますか?

そのまま解約すると、次に車を持つときは6等級からのやり直しになります。せっかく在学中に育てた等級が消えてしまうということです。これを避けるための仕組みが中断証明書で、手続きをしておけば等級を一定期間保存でき、次の契約に引き継げます。ただし発行できる等級の条件や手続きの期限、保存できる期間は保険会社ごとに定めがありますので、解約する前に契約中の保険会社へ確認してください。解約後に遡って発行できないケースもあります。

大学生の車の維持費は使い方から逆算する

長くなりましたので、数字で締めますね。中古の軽自動車を月1万円の駐車場に置き、年5,000km走らせる前提で、維持費は年間およそ33万6千円〜41万6千円。月にすると28,029円〜34,695円で、そのうち月24,510円は乗らなくても出ていく固定費です。

公的調査による大学生のアルバイト収入は年507,700円。維持費の中央値366,342円はその72.2%にあたり、下宿している学生の平均収入476,000円に対しては77.0%を占めます。在学四年間の総額は、車両と諸費用65万円・売却20万円という想定を置くとおよそ192万円。うち3分の2は維持費です。

そのうえで、私の結論は「持つな」ではありません。月に何回、1回何時間乗るのかを先に数えて、そこから逆算する——これに尽きます。

分岐点をもう一度置いておきます。カーシェアを3時間ずつ使うなら月9.3回、レンタカーを12時間ずつ借りるなら月6.8回。これを超えて乗るなら、所有したほうが安く済みます。深夜バイトの往復のように停めている時間が長い用途なら、なおさら所有が有利です。逆に月に3〜4回しか乗らないなら、借りたほうが総額は確実に小さくなります。

もし所有を選ぶなら、順番は決まっています。①保険と駐車場の条件を先に固める ②車検と税金を月割りで積み立てる ③名義と分担を家族と決めておく。この3つを済ませてから車両を探すと、後から慌てることが減るはずです。

最後に3つだけ但し書きを。この記事の金額はすべて前提を置いたうえでのあくまで目安であり、実勢価格や個別の見積もりではありません。税額・料率・料金・ガソリン価格はいずれも改定されますので、契約前に最新の情報を確認してください。正確な情報は公式サイトをご確認ください。最終的な判断は専門家・販売店・メーカーにご相談ください。

持たない暮らしが偉いとも思っていません。車がないと成り立たない生活はありますし、その場合に必要なのは我慢ではなく計算です。あなたの数字を計算式に入れ替えて、自分の答えを出してもらえたらうれしいです。