レンタカーを擦った・事故った時の費用!自己負担の内訳
こんにちは。UNOWNED でレンタル・サブスクを調べているいつきです。
レンタカーを擦ってしまった。ぶつけてしまった。そんなとき、まず頭に浮かぶのは「いくら払うことになるんだろう」という不安だと思います。
検索して金額を確かめたくなる気持ちは自然です。ただ、順番を間違えると、その金額すら大きく変わってしまいます。
ただ、この記事で最初にお伝えしたいのは金額ではありません。金額を調べるより先に、警察への届け出とレンタカー会社への連絡を済ませてください。この順番を守らないと、本来なら補償で消えるはずの費用まで自己負担になる可能性があります。
そのうえで、実際に請求される金額は3つに分けて考えると読めるようになります。免責額、NOC(休業補償)、そして実費です。それぞれ上限が決まっているので、補償の加入状況が分かれば支払額の見当がつきます。
この記事では、事故直後にやるべき手順を先に示し、そのあとで自己負担の内訳を整理します。いま困っている方は、次の見出しからそのまま読み進めてください。
- 擦った直後にやるべきことと、その順番
- 請求される金額を構成する3つの費目
- 補償の加入状況ごとに変わる自己負担の額
- 小さな傷でも黙って返してはいけない理由
擦ったときに最初にやること

まず、手を止めて読んでください。やることは3つで、順番も決まっています。金額の計算はそのあとで構いません。
1つ目は、安全を確保して警察へ届け出ること。現場で状況を確認して書類を作るだけで、時間としては30分から1時間ほどが目安ですが、当事者の人数や状況によって前後します。2つ目がレンタカー会社への連絡で、ここでの目的は2つあります。3つ目が、相手がいる場合の注意点で、その場で示談をしないこと。動揺しているときほど、順番を書いたものがあると助かります。この見出しの内容だけスクリーンショットを撮っておくか、声に出して確認しながら進めてください。
この章では、安全を確保して警察へ届け出ること、レンタカー会社へ連絡すること、そしてその場で示談をしないことを順に見ていきます。
安全を確保して警察へ届け出る
結論から言うと、どんなに小さな損傷でも警察への届け出が必要です。
「警察を呼ぶと大ごとになるのでは」と心配する方もいますが、物損事故の届け出は手続きとしては簡潔です。現場で状況を確認して書類を作るだけで、時間としては30分から1時間ほどが目安ですが、当事者の人数や状況によって前後します。
これは道路交通法で定められた義務です。同法第72条第1項は、交通事故があったときに運転者が直ちに運転を停止し、負傷者の救護と道路における危険の防止に必要な措置を講じたうえで、警察官に報告することを求めています。人身事故だけでなく、物にぶつけただけの物損事故も対象です(出典:e-Gov法令検索 道路交通法)。
「事故」という言葉から人身事故を思い浮かべるかもしれませんが、条文は損壊した物とその程度を報告することも求めています。ガードレール、電柱、店舗の壁、駐車場の柵。相手が人でなくても、届け出の対象になります。
手順としては、まず車を安全な場所に寄せてハザードランプを点けます。後続車に追突される二次被害を防ぐためです。可能なら発炎筒や停止表示板も出してください。そのうえで110番に連絡します。
高速道路では、車内や車の前後にとどまることがもっとも危険です。後続車に追突されるおそれがあるため、ハザードランプを点けて路肩に寄せたら、同乗者とともにガードレールの外側など車から離れた安全な場所へ避難し、そこから連絡してください。これはJAFやNEXCOも案内している基本の行動です。
110番では、事故の場所、けが人の有無、車の状態を聞かれます。落ち着いて答えられるよう、現在地が分かるものを探しておいてください。高速道路なら非常電話やキロポスト、一般道なら近くの建物名や交差点名が手がかりになります。
もうひとつ、実務上の理由もあります。警察に届け出ると交通事故証明書が発行できる状態になり、これがないとレンタカー会社が加入している保険の手続きが進みません。証明書は自動車安全運転センターが発行するもので、警察への届け出が前提になっています。
この証明書には申請できる期間も決まっていて、物件事故は事故発生から3年、人身事故は5年を過ぎると原則として交付されません。加えて、あとから警察へ届け出ようとしても、時間が経つほど事後の届け出は受理されにくくなります。その場で済ませるのがいちばん確実です。
つまり、届け出を省くと補償そのものが使えなくなる可能性があるということです。「相手もいないし、傷も小さいから」と判断して現場を離れるのが、いちばん高くつく行動になります。
警察への届け出を怠ると、交通事故証明書が発行されず、レンタカー会社の保険が使えなくなる可能性があります。その場合は修理費を全額自己負担することにもなりかねません。単独で壁を擦っただけでも届け出てください。
レンタカー会社へ連絡する
警察への連絡が済んだら、次はレンタカー会社です。
ここでの目的は2つあります。事故の事実を会社に記録として残すことと、その後の対応(レッカーの手配、代車の可否、修理の段取り)を会社に判断してもらうことです。自分で修理工場を探したり、見積もりを取ったりする必要はありません。勝手に修理を手配すると、かえって精算が複雑になります。
連絡先は契約書か、車内のダッシュボードに入っている書類、あるいはキーホルダーに記載されています。営業時間外でも受け付ける窓口を用意している会社がほとんどなので、深夜でも遠方でも連絡してください。
電話する前に、車の損傷部分をスマートフォンで撮っておくと説明が早くなります。全体が分かる引きの写真と、傷の部分に寄った写真の2種類があれば十分です。あとで請求内容を確認するときにも役立ちます。
伝えるのは、事故の日時と場所、車の状態、相手がいるかどうか、そして自分がどのプランで契約しているかです。会社側はここから、車を動かせるか、レッカーが必要か、代わりの車を手配するかを判断します。
連絡が遅れるほど不利になるのは、記憶と証拠が薄れるからです。現場の状況、相手の言い分、路面や天候。時間が経つほど再現が難しくなり、判断が保守的なほうへ寄っていきます。連絡は早いほど自分に有利に働きます。
会社によっては提携の事故受付センターが窓口になっていて、警察への届け出状況や相手方の情報をその場で聞き取られます。届け出をまだしていない場合は、先に警察へ連絡するよう案内されるのが普通です。
この連絡が早いほど、その後の手続きは楽になります。逆に返却まで黙っていると、会社側は事故の経緯を確認できず、補償の適用に支障が出ることがあります。連絡した事実そのものが、あとで自分を守る材料になると考えてください。
なお、パンクや故障のように事故とは呼びにくいトラブルでも、連絡の必要性は変わりません。線引きが分かりにくいケースは、パンク時の自己負担の内訳と対処の手順をまとめた記事も参考になります。
その場で示談をしない
3つ目が、相手がいる場合の注意点です。
軽い接触ほど「その場で現金を渡して解決しよう」と持ちかけられることがあります。手間が省けるように思えますが、これは避けてください。
理由は所有権にあります。レンタカーの持ち主はレンタカー会社であって、借りている側ではありません。車の損害について自分だけで示談する権限がないということです。会社に連絡せずに示談してしまうと、補償を受けられなくなる可能性が高くなります。
相手から「保険を使わずに済ませたい」と言われることもあります。気持ちは分かりますが、こちらは借りている立場なので応じられません。「会社に報告する義務があるので」と伝えて、警察の到着を待つのが正しい対応です。
もし相手がその場を離れようとするなら、無理に引き止めず、車のナンバーと車種、色を控えて警察に伝えてください。追いかけると二次的なトラブルになります。
相手の連絡先と車のナンバー、保険会社の情報だけは控えておいてください。その場でやるのはそこまでです。金額の話は、警察と会社への連絡を済ませてから進めます。
擦った直後の手順をまとめます。
- 車を安全な場所へ寄せてハザードランプを点ける
- 110番に連絡して警察へ届け出る
- レンタカー会社の緊急連絡先へ電話する
- 相手がいる場合は連絡先と保険会社を控える
- その場で示談や金銭のやり取りをしない
請求される金額の3つの内訳

ここからが金額の話です。レンタカーの事故で請求されるお金は、性質の違う3つに分かれます。分けて考えると、上限が見えてきます。
ひとまとめに「修理費」と考えていると、金額の見当がつきません。実際には、保険が払う部分と自分が払う部分がはっきり分かれていて、自分が払う側には上限が設けられています。1つ目が免責額で、対物と車両を合わせて最大10万円。2つ目が休業補償と呼ばれる負担金で、2万円か5万円のどちらかです。3つ目がレッカー代などの実費で、これは別枠になります。この3つを足したものが、自分の側の支払いということですね。
この章では、免責額は対物と車両で最大10万円であること、NOC(休業補償)は2万円か5万円であること、そしてレッカー代などの実費は別枠であることを順に見ていきます。
免責額は対物と車両で最大10万円
1つ目が免責額です。
免責額とは、保険金が支払われる前に利用者が自分で負担する金額のことです。レンタカーの基本料金には任意保険が含まれていますが、対物補償と車両補償にはそれぞれ自己負担の入口が設定されています。
ただし、この金額は会社によって異なる設定もあり得ます。契約時の書類に免責額の記載があるので、請求を受ける前に自分の契約の数字を確認しておくと、話が早くなります。
金額は大手・格安ともに対物5万円・車両5万円が一般的です。相手の車やガードレールを壊せば対物が、自分が乗っている車が傷つけば車両が動きます。単独で壁を擦った場合は車両の5万円だけ、相手の車にぶつかった場合は両方で10万円というのが基本的な数え方になります。
言い換えると、免責額は「保険を使うための入口の負担」です。この金額を超える修理費は、基本料金に含まれている任意保険が支払います。修理費の総額がいくらになるかを心配する必要はなく、見るべきは自己負担の上限だけです。
注意したいのは、これが1事故につきの金額だという点です。修理費が3万円で済んでも、5万円を上限に実費を負担する形になりますし、修理費が50万円かかっても自己負担は5万円で止まります。損傷の大きさと自己負担が比例しないのが、この仕組みの特徴です。
ここで混乱しやすいのが、相手側の車の修理費です。相手の車を直す費用は対物補償から支払われるので、こちらの自己負担は免責額の5万円までで止まります。相手の車が高級車で修理費が数百万円になったとしても、この上限は変わりません。
免責補償制度に加入していれば、この免責額は免除されます。日額は会社や車種で幅がありますが、多くの会社で1,000円台に収まる水準です。
NOC(休業補償)は2万円か5万円
2つ目が、NOCと呼ばれる負担金です。
この費目は、レンタカーを初めて借りる人にとっていちばん馴染みのないものだと思います。事故を起こしたときに「なぜ修理費以外にお金を払うのか」と感じる原因も、たいていここにあります。
NOCはノンオペレーションチャージの略で、休業補償や営業補償という言い方もされます。事故や汚損で車が使えなくなった期間、その車で営業できなくなった分をレンタカー会社が受け取るお金です。
請求書では「NOC」「休業補償」「営業補償」のいずれかで記載されます。見慣れない名前が並んでいても、修理費や免責額とは別枠のこの費目だと考えてください。
ここが分かりにくいところですが、NOCは保険金の支払いではありません。契約に基づいて利用者が負担する取り決めなので、任意保険や免責補償では消えないのが基本です。
NOCの考え方は、宿泊施設のキャンセル料に近いものだと考えると分かりやすくなります。予約が入っていたかどうかにかかわらず、その車を貸せない期間が生じた事実に対して支払う定額の負担です。
金額は業界でほぼ統一されていて、自走できる状態で予定の店舗に返却できた場合は20,000円、自走できず予定どおり返却できなかった場合は50,000円です。修理にかかった実際の日数とは連動せず、この2択の定額になります。
分かれ目は「自分で運転して予定の店舗まで返せたかどうか」の一点です。走行に支障のない小さな損傷でも、動かせずレッカーを呼んだ時点で50,000円のほうが適用されます。
レッカー代などの実費は別枠
3つ目が、その他の実費です。
実費は金額が読みにくい費目です。免責額とNOCには上限がありますが、こちらは状況次第で変わります。とはいえ、多くのケースではレッカー代が中心で、数万円の範囲に収まることが一般的です。
車を動かせない場合のレッカー代や搬送費用は、NOCとは別に請求されることがあります。ロードサービスが付帯しているプランなら無料になることもあるので、契約内容を確認してください。
加えて、修理のあいだの代車が必要になった場合の費用も、状況によっては話題になります。旅程の途中で事故を起こした場合、会社が代わりの車を手配してくれるかどうかは在庫と場所によります。この点も連絡時に確認しておくとよいでしょう。
旅先で車が使えなくなると、その後の移動手段も考え直すことになります。公共交通機関への切り替えや宿泊先の変更が必要になる場合もあるので、事故対応と並行して旅程の組み直しも視野に入れてください。
相手がいる事故では、相手方への賠償も発生します。ただしこちらは対人・対物とも無制限の補償が付いているのが一般的なので、免責額を超える部分は保険で処理されます。相手への賠償で青天井になる心配は要りません。
請求が届いたら、費目ごとに内訳を確認してください。免責額なのか、NOCなのか、実費なのか。名前が違うだけで同じものを二重に請求されていないかを見るのが、確認のポイントになります。
ほかに、車内をひどく汚した場合の清掃費用や、装備品を壊した場合の実費が加わることもあります。いずれも会社の規定によるので、請求内容は明細で確認してください。金額に納得がいかない場合は、算出の根拠を尋ねて構いません。
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| 費目 | 金額の目安 | 性質 | 補償で消せるか |
|---|---|---|---|
| 対物免責額 | 5万円 | 保険の自己負担分 | 免責補償で免除 |
| 車両免責額 | 5万円 | 保険の自己負担分 | 免責補償で免除 |
| NOC(休業補償) | 自走可2万円/不可5万円 | 契約上の負担金 | 上位プランで免除 |
| レッカー代など実費 | 状況による | 実費 | ロードサービス付帯なら軽減 |
補償の加入状況で変わる自己負担
3つの費目が分かったところで、実際の支払額を組んでみます。加入しているプランによって、結果は大きく変わります。
いま契約書が手元にあるなら、補償の欄を確認してください。「免責補償制度」だけに丸が付いているのか、NOC免除まで含むプランなのかで、これから見る金額が変わります。追加の補償に入っていなければ、対物5万円・車両5万円・NOC5万円で合計15万円。免責補償だけに入っていれば、残るのはNOCの5万円だけです。NOCまで含む上位プランなら、自己負担はゼロになります。ただし、補償に入っていても払うことになる場面はあります。
この章では、未加入・免責補償のみ・上位プランの比較と、補償に入っていても払うことになる場面を順に見ていきます。
未加入・免責補償のみ・上位プランの比較

相手の車にぶつかり、自走できずレッカーを呼んだという条件で計算してみます。
→ 横にスクロールできます
| 加入状況 | 対物免責 | 車両免責 | NOC | 自己負担の合計 |
|---|---|---|---|---|
| 追加補償なし | 5万円 | 5万円 | 5万円 | 15万円 |
| 免責補償のみ加入 | 0円 | 0円 | 5万円 | 5万円 |
| NOCまで含む上位プラン | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
免責補償に入っているつもりでも、契約書の記載が「免責補償制度」だけならNOCは残ります。プラン名に「プラス」「W」「フルサポート」「パーフェクト」といった語が付いていれば、NOCまで含んでいる可能性が高くなります。
この表で見てほしいのは、免責補償だけでは5万円が残るという点です。免責額は消えてもNOCは別枠なので、上位プランでなければゼロにはなりません。「補償に入っていたのに請求された」という戸惑いは、たいていこの構造から生まれます。
単独で壁を擦り、自走して返却できた場合はもう少し軽くなります。車両免責5万円とNOC2万円で合計7万円、免責補償に入っていればNOCの2万円だけ、上位プランならゼロです。
逆に言えば、免責補償に入っていたなら、最悪でも5万円で収まったということでもあります。15万円と5万円の差を、1日千数百円の補償料で埋められると考えると、次からの判断は変わってくるはずです。
次回どこまで備えるかを決める材料は、免責補償は必要かを判断基準から整理した記事にまとめています。
次に借りるときに補償の条件で選びたいなら、表示価格に免責補償費が入っている予約サイトを見ておくと比べやすくなります。たびらいレンタカーはカーナビ・消費税・ETC車載器・免責補償費を込みで表示するので、補償を含めた総額のまま候補を並べられます。
この差を日額に置き換えると判断しやすくなります。免責補償と上位プランの差は1日あたり数百円から1,000円強で、その差で最大5万円のNOCが消える計算になります。1泊2日なら千円から2千円ほどの差です。
連泊するほど補償料の総額は増えますが、事故のリスクも日数分だけ長く抱えることになります。日数が伸びるほど上位プランの合理性が上がるという関係です。カーシェアとの使い分けを含めた考え方は、時間と距離で見る損益分岐点をまとめた記事で整理しています。
いま事故を起こしてしまった方には後の祭りですが、次回以降の判断材料にはなります。料金の全体像は何にいくらかかるかを整理した記事で、会社ごとの補償条件は大手と格安の違いを料金と補償の条件で比較した記事で確認できます。
補償に入っていても払うことになる場面
上位プランに入っていれば常にゼロかというと、そうではありません。
補償制度は契約に基づく仕組みなので、契約や法律に違反した状態での事故は対象外になります。具体的には、飲酒運転、無免許運転、契約書に記載のない人が運転していた場合、レンタル期間を無断で延長していた場合などです。
また、故意による損傷や、著しく不注意な運転による事故も対象外とされるのが一般的です。補償はあくまで「通常の運転で起きた不測の事態」に備えるものだという前提を押さえておいてください。
手続きの不備でも対象外になり得ます。警察に届け出なかった、会社に連絡せずに示談した、といったケースです。冒頭で手順を先に示したのは、これが理由になります。
実際に起きやすいのは、契約書に記載のない人が運転していたケースです。旅行中に「少しだけ代わって」と運転を交代し、そのときに事故が起きると補償の対象外になり得ます。運転する可能性がある人は、全員を契約時に登録しておいてください。
損傷の種類による線引きもあります。タイヤやホイール、内装の破損は補償の対象外とされることがあり、プランによってはタイヤ修理代を明示的に含むものもあります。裏を返せば、明示されていなければ含まれない可能性があるということです。
補償込みの総額の見方は、補償込み総額の見方をまとめた記事で整理しています。地域によって補償料が変わる会社もあるので、地域別の補償料を検証した記事もあわせてどうぞ。
小さな傷でも報告すべき理由
最後に、いちばん迷いやすい場面を扱います。誰もいない場所で、目立たない傷を付けてしまった。このとき「黙って返せばよいのでは」と考える方は少なくありません。
気持ちとしては理解できます。ただ、この判断は結果的にいちばん高くつく可能性が高い選択です。理由は3つあって、いちばん大きいのは、黙って返すと補償が使えなくなるという点。補償制度は事故を報告することを前提に組まれているので、報告がなければ「対象外」の扱いになります。せっかく免責補償に入っていても、その1,100円が無駄になるわけですね。小さな傷ほど、正直に伝えたほうが安く済みます。
この章では、黙って返すと補償が使えなくなる理由を3つに分けて説明します。傷の大小にかかわらず、報告するかどうかで扱いが変わるところなので、最後まで読んでおいてください。
黙って返すと補償が使えなくなる
結論から言うと、この選択肢は成立しません。
実際、返却時のトラブルで多いのは「この傷は元からあったのでは」という食い違いです。出発時に一緒に見ていれば、この議論そのものが起きません。
返却時の点検は、出発時にスタッフと一緒に傷や汚れの有無を記入したチェックシートを基準に行われます。出発前の確認を丁寧にやっておくほど、「元からあった傷」と「今回付いた傷」の線引きははっきりします。ここでも、出発時の手順が効いてくるわけです。
理由は3つあります。第一に、返却時の点検で見つかります。スタッフは傷や凹みの有無を確認したうえで受け取るので、出発時のチェックシートと照らし合わせれば差は分かります。
また、傷は思っている以上に見つかりやすいものです。洗車や清掃の過程でも確認されますし、次の利用者から指摘が入ることもあります。見つからないことを前提にした判断は、そもそも成り立ちにくい構造です。
第二に、見つかった時点で補償が使えなくなる可能性があります。警察への届け出も会社への連絡もない状態では、事故の経緯が確認できず、保険の手続きが進みません。結果として修理費を全額負担することにもなりかねません。
相手のいる事故ならなおさらです。相手が後日警察に届け出れば、こちらの届け出がないことが明らかになります。当て逃げとして扱われる可能性もあり、リスクの大きさが金額の話ではなくなります。
第三に、届け出をしないこと自体が道路交通法上の義務違反にあたります。物損事故であっても報告義務がある以上、隠すという選択に法的な安全地帯はありません。
もし迷っているとすれば、それは「怒られるのが怖い」という気持ちが大きいのだと思います。ただ、レンタカー会社にとって事故対応は日常的な業務です。責める場ではなく、手続きを進める場だと考えて連絡してください。
つまり、黙っていることで得られる利益はなく、失うものだけが大きいということです。補償に入っているなら、報告すれば免責額もNOCも消える可能性があります。報告しないほうが高くつくという構造を理解しておいてください。
返却時に「これは元からあった傷では」と迷ったら、出発時のチェックシートを見せてもらってください。記載があれば自分の責任ではないと確認できます。
レンタカーを擦ったときに関するよくある質問(FAQ)
相手がいない単独事故でも警察を呼ぶ必要がありますか?
必要です。道路交通法は物損事故についても警察官への報告を求めています。また、警察への届け出がないと交通事故証明書が発行されず、レンタカー会社の保険手続きが進まない可能性があります。壁やガードレールを擦っただけでも110番してください。
擦っただけならいくらくらいかかりますか?
補償に入っていない場合、単独で自走して返却できたなら車両免責5万円とNOC2万円で合計7万円ほどが目安です。相手がいて自走できない場合は対物5万円・車両5万円・NOC5万円で最大15万円になります。免責補償に加入していれば免責額は免除され、上位プランならNOCも消えます。
修理費が免責額より安い場合はどうなりますか?
免責額は上限なので、修理費がそれを下回れば実費の負担になるのが一般的です。修理費3万円なら3万円、50万円なら上限の5万円という考え方です。ただし精算方法は会社によって異なるため、請求の明細で内訳を確認してください。
返却してから傷に気づいた場合はどうすればよいですか?
気づいた時点ですぐレンタカー会社へ連絡してください。時間が経つほど経緯の確認が難しくなり、補償の適用が不利になります。事故の届け出をしていない場合は、警察への相談も併せて行う必要があります。放置しても後日連絡が来る可能性があり、隠し通せる前提で考えないほうが安全です。
自分の自動車保険を使ったほうが安く済みますか?
必ずしもそうとは限りません。他車運転特約が使える契約であっても、対人・対物の賠償保険を使えば3等級ダウンとなり、翌年からの保険料が上がります(車両保険は事故の種類によって等級の下がり方が変わることがあります)。自己負担が10万円前後であれば、保険を使わずに払ったほうが総額で有利になる場面もあります。NOCは自動車保険の補償対象外である点にも注意してください。
まとめ|手順を先に、金額はそのあとで
レンタカーを擦ったときにやるべきことは、金額を調べることではありません。車を安全な場所へ寄せ、警察へ届け出て、レンタカー会社へ連絡する。この3つが先です。
順番が大事なのは、あとの選択肢を残すためです。届け出と連絡さえ済ませておけば、補償が使える状態は維持されます。逆にここを飛ばすと、どんなプランに入っていても自己負担になる可能性が出てきます。
警察への届け出は道路交通法上の義務であり、実務的にも交通事故証明書がなければ保険の手続きが進みません。相手がいる場合は、その場で示談せず連絡先を控えるにとどめてください。
請求される金額は3つの費目に分かれます。
- 免責額=対物5万円・車両5万円(免責補償に入っていれば免除)
- NOC(休業補償)=自走可2万円・自走不可5万円(上位プランなら免除)
- レッカー代などの実費=状況による(ロードサービス付帯で軽減)
補償に入っていない場合の自己負担は、相手がいて自走できないケースで最大15万円、単独で自走して返せたケースで7万円ほどが目安です。免責補償に入っていればNOCだけ、上位プランならゼロになります。
次に借りるときのために覚えておきたいのは、出発前の車両確認を丁寧にやることです。既存の傷を記録しておけば、返却時に自分の責任範囲がはっきりします。数分の作業で、あとの安心が大きく変わります。
そして、小さな傷でも黙って返すという選択は成立しません。返却時の点検で見つかりますし、報告がなければ補償が使えなくなる可能性があります。報告しないほうが高くつく構造になっているということです。
最後に、いま事故を起こしてしまった方へ。手順さえ踏んでいれば、金額は上限のある範囲に収まります。落ち着いて、届け出と連絡から進めてください。
事故対応の条件や金額は会社によって異なり、変更されることもあります。最終的な取り扱いは、必ず利用しているレンタカー会社にご確認ください。法的な判断が必要な場面では、警察や専門家にご相談ください。