レンタカーのスタッドレスと4WD!雪道の手配と追加料金
こんにちは。UNOWNED でレンタル・サブスクを調べているいつきです。
冬にレンタカーを借りようとして、予約画面で手が止まったことはないでしょうか。スタッドレスタイヤのチェックボックス、その隣に並ぶ4WDの指定。どちらも追加料金がかかると書かれていて、本当に要るのか判断がつきません。
ここが厄介なのは、答えが「出発する店舗」で変わるところなんですね。札幌で借りるなら冬は何もしなくてもスタッドレスが履いていますが、東京で借りて新潟へ向かうなら、申し込まない限り夏タイヤのまま渡されます。
しかも標準装備の地域は「タダでスタッドレスが付く」わけではありません。冬季の加算を1日いくらと明示する会社もあれば、車両料金そのものを冬の水準へ切り替える会社もあって、請求のどこに乗るかが違うだけなんですね。
今回は、大手レンタカー会社が公開している冬季オプションの料金表と標準装備地域の一覧、それに国土交通省とJAFが出している雪道の資料を突き合わせて、どの条件なら何を申し込むべきかを整理しました。
結論を先に言うと、判断材料は2つだけです。出発店舗が標準装備地域かどうかと、走る道に急な上り坂があるかどうか。この2つが決まれば、スタッドレスと4WDのどちらに追加料金を払うべきかは自動的に決まります。
- 標準装備地域と期間が会社ごとにどれだけ違うのか
- スタッドレスと4WDの追加料金の実額と課金の単位
- 4WDが効く路面と、逆に不利になる路面の実測データ
- チェーン規制に当たったときスタッドレスでは通れない理由
出発地で決まるスタッドレスの扱い

最初に押さえるべきは、スタッドレスタイヤが「オプション」なのか「標準装備」なのかが、借りる店舗の所在地と出発日で切り替わるという仕組みです。
レンタカー会社は雪の多い地域の店舗について、あらかじめ期間を決めて全車をスタッドレスに履き替えています。その期間にその地域で借りるなら、申し込みは不要どころか選択肢として出てきません。
反対に、標準装備の対象外になっている店舗では、雪国へ向かう行程であっても夏タイヤが基本です。予約時に自分でチェックを入れないと、そのまま夏タイヤで渡されることになります。
この章では、大手各社が公開している標準装備地域と期間を具体的に並べたうえで、都市部発で雪国へ向かうときに何が起きるのかを見ていきます。
積雪地の営業所は冬季に標準装備
まず標準装備側の条件です。ニッポンレンタカーが公開している一覧(同社サイトの2026年4月21日現在の表記)では、地域ごとに期間が細かく分かれています。
北海道が11月1日から翌年4月20日まで。青森県・秋田県・岩手県・山形県が12月1日から翌年3月31日まで。宮城県と福島県は12月16日から翌年3月15日までと、同じ東北でも1か月近くずれています。
中部の長野県・新潟県・山梨県と、北陸の福井県・富山県・石川県はいずれも12月1日から翌年3月31日まで。中国地方の島根県・鳥取県は宮城・福島と同じ12月16日から翌年3月15日までという区切りです。
タイムズカーレンタルも同じ考え方で、北海道は2026年11月1日から2027年4月15日まで、青森・岩手・宮城・秋田・新潟・石川・長野・鳥取・島根の9県は2026年12月1日から2027年3月31日までを装備期間として公開しています。
注意したいのは、この期間が固定ではないことです。タイムズカーレンタルは「降雪量に応じて期間が変更する場合があります」と明記しています。11月末の北陸や4月上旬の東北といった境目の時期に借りるなら、予約前に最新の表を見ておくのが確実でしょう。
もうひとつ、標準装備地域に当たるかどうかは出発店舗の所在地で判定されます。返却先が雪国であっても、出発が東京なら標準装備にはなりません。
標準装備地域のなかでも、すべてのクラスが対象とは限りません。ニッポンレンタカーは「地域により、スタッドレスタイヤの装備期間、装備クラスは異なります」と注記しています。軽自動車からワゴンまで一律に履き替えているわけではない、ということですね。
それに、雪が降る場所は雪国だけではありません。同社は降雪地域として北海道・東北・甲信越・日光と鬼怒川地区・北陸・中国山陰に加えて阿蘇と九重を挙げ、「沖縄と奄美諸島を除き、東京・大阪・京都・名古屋・福岡などでも雪が降る可能性がございます」と案内しています。九州の山間部や関東北部も、冬は装備を考える対象に入ります。
都市部発は申し込まないと夏タイヤ
では東京や大阪から雪国へ向かう場合はどうなるのか。ここが最も事故が起きやすいところです。
ニッポンレンタカーは「降雪地域(北海道/東北/甲信越/日光・鬼怒川地区/北陸/中国山陰/阿蘇・九重など)へのお出かけ・乗り捨て利用の場合は、スタッドレスタイヤのお申し込みをお願いいたします」と案内しています。つまり行き先が雪国でも、申し込みは利用者側の作業なんですね。
さらに同社は、スタッドレスを装着せず降雪地域へ出かける場合について「各都道府県の道路交通法施行細則または道路交通規則の関連条項に従い、レンタカーのご利用をお断りすることがございます」とも書いています。店舗の判断で貸し出しそのものが止まる可能性があるわけです。
在庫の制約も見落とせません。同社は「スタッドレスタイヤ装備のある車両は数に限りがあり、ご予約を承ることができない場合もございます」とし、装備のあるクラスが都道府県ごとに限られること、記載のない県には装備車両がないことまで明示しています。
加えて、オプションを選べる範囲にも枠があります。ニッポンレンタカーの公式サイト・アプリでスタッドレスを選べるのは「毎年10月から翌年5月までにご出発予定のご予約分のみ」です。条件は申し込む日ではなく出発予定日なので、6月や9月に出発する行程ではそもそも選択肢に出てきません。
行き先が雪国でも、出発店舗が標準装備地域でなければスタッドレスは自動では付きません。装備車両はクラスと台数が限られるため、冬の遠出は車種よりタイヤを先に押さえる順番になります。
スタッドレスの追加料金と上限額
次は金額です。追加料金は会社とクラスで大きく開いていて、同じ1日でも数百円から4千円台まで幅があります。
しかもここには、表に出にくい費用がもう1つ隠れています。標準装備地域で「タイヤ代が無料」になる代わりに、基本料金そのものが冬の料金体系へ切り替わる仕組みです。
結論としては、タイヤ代の数字だけを比べても総額の比較にはならないということになります。標準装備地域で借りるのか、オプションで付けるのかで、費用の出どころが変わるからですね。
この章では各社が公開しているオプション料金を実額で並べ、そのあとに標準装備地域のシーズン料金という仕組みを確認します。最後に3社の冬季条件を1枚の表にして、どの会社がどんな行程に向くのかまで見渡せるようにしました。
標準装備の加算とオプションの違い
ここでいちばん誤解しやすいのが、公開されている金額が2種類あることです。同じ「スタッドレスの料金」でも、標準装備エリアで自動的に乗る加算と、標準装備地域外で自分から付けるオプション料金は別物です。
前者の例がタイムズカーレンタルです。同社は標準装備エリアと期間について「下記のエリア・期間では、安全のためスタッドレスタイヤ装備車両をご用意します。24時間あたり660円(税込)がかかります」と案内しています。選ぶ・選ばないの余地はなく、そのエリア・期間で借りれば付いてきて、そのぶん加算されるという形です。
この加算には上限があり、「利用上限金額は、10日間分6,600円(税込)です」と公開されています。2週間借りても3週間借りても、この項目は6,600円で止まる計算になります。
後者の例がトヨタレンタカーのオプション料金です。乗用・バンクラスが2,200円(税込10%)/24時間まで、ワゴン・SUVクラスが3,300円(税込10%)/24時間まで、トラック・バスクラスが4,400円(税込10%)/24時間まで。こちらは標準装備地域の標準装備期間は対象外と明記されていて、都市部発で雪国へ向かうときに自分で足す料金です。
だから「660円と2,200円を比べてタイムズが安い」という読み方は成り立ちません。前者は雪国で借りるときの加算、後者は雪のない土地で借りて雪国へ行くときのオプションで、そもそも発生する場面が違うからですね。
自分がどちらに当たるのかは、出発店舗を標準装備エリアの一覧に当てはめれば決まります。当たるなら加算額を、外れるならオプション料金を見る、という順番になります。
課金の単位にも癖があります。トヨタレンタカーの表記は「24時間まで」で、タイムズカーレンタルも「24時間あたり」です。つまり半日だけ借りてもタイヤ代は1単位分かかり、逆に25時間借りれば2単位分になります。
これは車両の基本料金が6時間・12時間・24時間の区分制であることと噛み合わない場面があります。たとえば12時間区分で借りる行程でも、タイヤ代は24時間分として計算される会社があるわけです。見積もり画面で合計額を確かめるのが確実でしょう。
料金は改定されるため、金額はあくまで各社が現在公開している目安として扱ってください。予約前に公式の料金ページで最新の額を確認するのが確実です。
標準装備地域は冬期シーズン料金
ここが冒頭で触れた「無料だから得ではない」という部分です。
ニッポンレンタカーは標準装備について、対象の地域・期間は「スタッドレスタイヤ全車標準装備(無料)のため、スタッドレスタイヤのお申し込みは不要です」と案内する一方で、「スタッドレスタイヤ標準装備地域・期間のご利用は、冬期シーズン料金が加算されます」と明記しています。
トヨタレンタカーも同様に、スタッドレスのオプション料金の欄へ「標準装備地域の標準装備期間は対象外(別途シーズン料金を適用させていただきます。)」と書いています。2社とも同じ構造です。
整理すると、この2社の標準装備地域ではタイヤが明細上の無料項目になり、そのぶん車両料金が冬の水準に上がります。オプション地域ではタイヤが有料項目として立ち、車両料金は通常期の水準のままです。
一方タイムズカーレンタルは、同じ性質の負担を「24時間あたり660円」という独立した項目として見せています。やっていることは近いのですが、加算額が読めるかどうかが違います。
比較する側の実務で言えば、タイムズ方式のほうが総額を自分で計算しやすく、シーズン料金方式は予約画面の総額表示を見るしかありません。どちらが安いかは車両料金の差に吸収されるので、結局は同じ条件で見積もりを2本取るのが確実でしょう。
ややこしいのは、この冬期シーズン料金が年末年始などの繁忙期料金とも別枠だという点です。12月下旬に北海道で借りるなら、通常の車両料金に冬期シーズン料金と繁忙期の設定が重なる可能性があります。
どちらが安いかは行程で変わるので一律には言えません。ただ、「北海道は無料だからタイヤ代ゼロで計算する」という見積もりは実際の請求とずれます。冬の見積もりは必ず総額表示の画面で確認するのが安全でしょう。
料金の内訳そのものが分かりにくいと感じたら、レンタカー料金の相場と内訳|基本料金に何がいくら上乗せされるか整理で基本料金に乗る項目を先に押さえておくと、冬季の加算がどこに入るのか見えやすくなります。
大手3社の冬季条件を並べて比べる

ここまでの条件を1つの表にまとめます。金額と期間は各社が公開している内容で、改定される前提で見てください。
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| 項目 | タイムズカーレンタル | トヨタレンタカー | ニッポンレンタカー |
|---|---|---|---|
| 標準装備エリアでの加算 | 24時間あたり660円(税込) | オプション対象外=別途シーズン料金 | タイヤ代は無料・申込不要だが冬期シーズン料金が加算 |
| 標準装備地域外のオプション料金 | 公式ページで要確認 | 乗用・バン2,200円/ワゴン・SUV3,300円/トラック・バス4,400円(各24時間まで・税込10%) | 公式のオプション料金ページで要確認 |
| 料金の上限 | 加算は10日間分6,600円(税込)が上限 | 公式表に上限の記載なし | 公式のオプション料金ページで要確認 |
| 標準装備地域 | 北海道と青森・岩手・宮城・秋田・新潟・石川・長野・鳥取・島根の計10都道府県 | 標準装備地域・期間を別ページで公開 | 北海道/東北4県/宮城・福島/長野・新潟・山梨/福井・富山・石川/島根・鳥取 |
| 装備期間の例 | 北海道2026/11/01〜2027/04/15、9県2026/12/01〜2027/03/31 | 地域ごとに設定 | 北海道11/1〜翌4/20、東北4県12/1〜翌3/31、宮城・福島12/16〜翌3/15 |
| 加算額の見え方 | 1日あたりの金額として明細に立つ | 車両料金側のシーズン料金に含まれる | 車両料金側のシーズン料金に含まれる |
| 4WDの指定 | 公式ページで要確認 | BUS以外1,650円/BUS 2,750円(各24時間まで・税込10%) | 予約画面でスタッドレスと同じ条件設定から指定 |
| タイヤチェーン | 公式ページで要確認 | 店舗により料金が異なる(取り扱いあり) | 全国で取り扱いなし=利用者が用意 |
| 期間の変動 | 降雪量に応じて期間が変更する場合あり | 公式の標準装備ページで確認 | 地域によりクラス・期間が異なる |
表にすると、3社の方針の違いがはっきりします。タイムズは雪国での加算を1日あたりの金額として見せて上限も設ける設計、トヨタはオプションをクラス別に細かく刻んで4WDやチェーンまで選べる品ぞろえ、ニッポンは標準装備地域を6ブロックに細分するかわりにチェーンを扱わない割り切りです。
自分の行程がどの会社の条件に当たるかは、出発店舗の所在地をこの表の標準装備地域の欄に当てはめれば判定できます。そのうえで、加算かオプションかを決めてから金額を見る、という順番が迷いにくいですね。
どの会社が自分の旅程に合うかは、タイヤ以外の条件も絡みます。乗り捨てや店舗網まで含めて決めたいなら、レンタカー会社の選び方|大手と格安の違いを料金と補償の条件で比較で会社ごとの得意分野を確認してから選ぶ流れが無駄がありません。
冬の見積もりで私がいちばん外しやすいと感じるのは、1日あたりの単価だけで比べてしまうことです。上限額のある会社は連泊で急に有利になるので、泊数を入れてから比べ直すと順位が入れ替わります。
4WDが本当に必要な路面はどこか
ここからは4WDの話です。雪道と聞くと4WDを選びたくなりますが、追加料金を払う価値があるかは路面の条件で分かれます。
参考になるのがJAFが公開しているユーザーテストです。スタッドレスタイヤを装着した4WD車2台と2WD車2台で、雪の坂道の登坂と制動を比べた試験が報告されています。
この結果を読むと、4WDが効く場面と効かない場面がかなりはっきり分かれます。結論だけ先に書くと、上り坂では差が出るが、止まる性能では差が出ないということです。
この章では試験の数値を確認したうえで、FF車にスタッドレスを履かせるだけで足りる条件と、4WDを単独で指定できるのかという手配の話まで順に見ていきます。勾配の%が実際どのくらいの坂なのかという換算も挟むので、自分の行き先に当てはめながら読んでください。
登坂は4WD、下りは効かない

まず登坂のデータです。JAFのユーザーテストでは、勾配9%の緩やかな坂は4台すべてが上りきれたと報告されています。
ところが勾配20%の急勾配になると結果が分かれます。4WDの2台は安定して上りきった一方、2WDの2台はスタッドレスタイヤを装着していても坂の途中でスリップし、上りきれませんでした。
つまり同じスタッドレスでも、急な上り坂では駆動方式が結果を左右するわけです。スキー場のアクセス路や峠道のように勾配のきつい区間が行程にあるなら、4WDの追加料金には意味があることになります。
勾配の数字を身近な感覚に直しておきましょう。勾配9%は水平に100m進む間に9m上がる坂で、角度にすると約5度です。勾配20%は同じ100mで20m上がる坂=約11度になります。
数字で見ると小さく感じますが、この試験の条件では11度の上りで2WDのタイヤが空転しました。閾値は車重・タイヤの摩耗・雪質で変わるので一般的な境目ではありませんが、山の中腹にある温泉宿や高台の駐車場へ入る取付道路は、この領域に入ることがあります。
一方で制動はどうか。圧雪された平坦路で時速40kmから急ブレーキをかけた試験では、4WD車・2WD車ともに制動距離は約20〜22mで、大きな差は出ていません。
下り坂ではむしろ逆転します。圧雪された勾配9%の下り坂で時速40kmから急ブレーキを踏んだところ、2WD車は約29〜33mで停止したのに対し、4WD車は停止までに約35〜40m必要だったと報告されています。車両重量が重いぶん止まりにくくなるという説明です。
さらに同試験は、車両重量が最も重かったランドクルーザープラドについて、下り坂の制動距離が平坦路に比べて約2倍長くなったと報告しています。大きくて重い4WDほど、止まる性能の面では不利になるわけです。
試験の条件も押さえておきましょう。2018年2月14日に交通科学総合研究所(北海道士別市)で行われ、テスト車は2WD 2台と4WD 2台の計4台、各車とも新品のスタッドレスタイヤを装着した圧雪路での計測です。ABSを作動させた状態での制動距離という条件も明記されています。
この非対称は覚えておく価値があります。4WDは「上れる」を買う装備で、「止まれる」を買う装備ではないということですね(出典:JAF 4WDなら雪道でも安心?2WDと登坂・ブレーキ性能を比較(JAFユーザーテスト))。
FF+スタッドレスで足りる条件
では4WDを省いてよいのはどんな行程でしょうか。
JAFの試験で勾配9%の坂を4台すべてが上りきれた点が手がかりになります。除雪された幹線道路や市街地を中心に走り、急勾配の登坂が行程に入らないなら、スタッドレスを履いた2WDで足りる可能性が高いという読み方ができます。
実際、標準装備地域の車両はすべてが4WDというわけではありません。ニッポンレンタカーが都道府県別に公開しているスタッドレス装備クラスの一覧にも、軽自動車やコンパクトカーのクラスが並んでいます。雪国の店舗で2WDのスタッドレス車が主力として貸し出されている、という事実は判断の材料になるでしょう。
逆に4WDを検討したいのは、宿や目的地が山の上にある場合、駐車場が未除雪で傾斜がある場合、それに降雪の予報が出ている時間帯に峠を越える場合です。このいずれかに当たるなら、1日1,650円前後の追加料金は保険として合理的な範囲に入ります。
駆動方式の呼び方も整理しておきます。FFは前輪が駆動する方式で、エンジンの重さが駆動輪に乗るため雪の上では比較的発進しやすい構造です。後輪だけで駆動するFRは、荷重が抜けて空転しやすい場面があります。レンタカーの乗用クラスに並ぶコンパクトカーやミニバンは、多くがFFかその4WD版です。
大切なのは、4WDにしたから飛ばせるわけではないという点です。止まる距離は変わらず、下りでは長くなるという試験結果があるので、装備に関係なく車間と速度を落とす運転が前提になります。
人数や荷物でクラスを先に決めてしまうと、そのクラスに4WDやスタッドレスの在庫がないという行き違いが起きます。クラスの考え方はレンタカーの車種の選び方|人数別クラスの目安と車種指定できる範囲に整理してあるので、冬はクラスと装備を同時に見るのがおすすめです。
4WDだけを指定することはできる
手配の話に移ります。4WDはスタッドレスとセットでしか選べないと思われがちですが、独立したオプションとして用意している会社があります。
トヨタレンタカーの公式料金表では、4WD(駆動輪)はBUS以外のクラスが1,650円(税込10%)/24時間まで、BUSクラスが2,750円(税込10%)/24時間までと明記されています。予約方法も「トヨタレンタカーWebサイトからご予約いただけます(BUSクラスを除く)」とあり、Web上で指定できる装備です。
ニッポンレンタカーの予約画面も同じ考え方で、車種・クラス選択画面の「スタッドレスタイヤ(冬季のみ)・4WDを指定する」という項目から条件を設定する流れになっています。2つの装備が同じ設定画面にまとめられているわけですね。
ただし指定できることと在庫があることは別です。ニッポンレンタカーは、条件で絞り込んだときに表示されないクラスについて「スタッドレスタイヤの車両が満車、またはスタッドレスタイヤ装備車両のご用意がありません」と説明しています。4WDも同様に台数の制約を受けます。
夏タイヤのまま4WDだけを指定しても、雪道では意味が薄いことも押さえておきたい点です。JAFの試験で2WDが登坂に失敗したのはスタッドレス装着下での結果であり、タイヤが夏用なら駆動方式にかかわらず前提が崩れます。順番としてはスタッドレスが先、4WDが追加です。
なお、冬季の装備を足すと総額は上がります。割引やクーポンで相殺したい場合の考え方はレンタカーを安く借りる方法|割引は併用できないので選び方と順番が肝心にまとめています。
予約から返却までの段取り
最後は実務です。冬の手配は、夏と同じ段取りでは間に合わないことがあります。
理由は在庫と期限の2つ。スタッドレス装備車はクラスごとに台数が限られ、そもそも申し込める期間にも枠が設けられています。
そしてもう1つ、多くの人が当日になって気づくのがタイヤチェーンの扱いです。スタッドレスを履いていても通れない区間があり、そのチェーンをレンタカー会社が貸してくれるとは限りません。
この章では、申し込みの期限と在庫の考え方、そしてチェーン規制という制度面の条件を確認します。冬は装備の手配が予約の順番を変えるので、車種から決める普段のやり方をいったん外して読んでみてください。チェーンを扱うかどうかは会社で分かれる部分なので、ここも合わせて押さえます。
申し込みの期限と在庫の限り
選べる範囲から見ていきます。ニッポンレンタカーは、公式サイト・アプリでスタッドレスを選べるのを「毎年10月から翌年5月までにご出発予定のご予約分のみ」と公開しています。出発予定日が10月から翌年5月の範囲にあれば、何か月前の申し込みでも選択できる建て付けです。
それでも落とし穴はあります。車両だけ先に予約してタイヤを後から足そうとすると、人気クラスの装備車が埋まっている可能性があるわけです。装備は後付けできる項目ではなく、装備付きの在庫を取る作業だと考えたほうが実態に合います。
在庫側の制約も具体的です。同社は装備のあるクラスを都道府県別に一覧で示し、記載のない県には装備車両がないこと、記載のある県でもリクエスト制(有料)になることを明記しています。都市部発で雪国へ向かう行程ほど、早めの確保が効いてきます。
順番としては、行き先と日程が決まった時点でまず装備付きの在庫を探し、そこから車種とクラスを絞るのが合理的です。普段の予約は車種を決めてから店舗を選びますが、冬はこれを逆にしたほうが取りやすくなります。
では何日前に動くべきか。繁忙期の年末年始や連休は車両自体が埋まるので、装備付きの車を狙うならさらに前倒しが要ります。キャンセル料が発生する時期との兼ね合いはレンタカーの予約はいつから?何日前・当日・予約なしの条件を大手5社で比較で確認しておくと、押さえる時期を決めやすくなります。
もう1つ、冬はタイヤのトラブルが増える季節でもあります。縁石に乗り上げてサイドウォールを切るような損傷は、補償の扱いが会社ごとに違います。万一のときの負担はレンタカーのパンクは補償対象外|自己負担の内訳と正しい対処の手順で線引きを見ておくと安心でしょう。
タイヤチェーンは自分で用意する

制度面でいちばん誤解されているのが、チェーン規制です。
国土交通省は、チェーン規制を「大雪特別警報や大雪に対する緊急発表が行われるような異例の降雪があるときに行います」と説明しています。目的は大規模な立ち往生を防ぐことで、通常なら通行止めになる区間をチェーン装着車だけ通す仕組みです。
重要なのは次の一文です。「スタッドレスタイヤを着けていても、タイヤチェーンをしていない自動車はチェーン規制中に通ることはできません」。スタッドレスは免除の条件にならないということですね。
対象区間は限定されていて、同省のページには直轄国道6箇所と高速道路8箇所の計14区間が挙げられています。山形県の月山道路(15.2km)や、山梨県・静岡県にまたがる山中湖・須走(8.2km)といった、過去に立ち往生が起きた峠が並びます(出典:国土交通省 道路:雪防災)。
ではチェーンはどこで借りるのか。ここで会社差が出ます。ニッポンレンタカーは「タイヤチェーンオプションは、全国でお取り扱いがございません。チェーンが必要な場合は、お客さまご自身でご用意をお願いいたします」と明記しています。スキーキャリアの取り扱いもないとされています。
一方トヨタレンタカーは、キャリア(スキー・スノーボード)やタイヤチェーンについて「店舗により料金が異なります」と案内しており、店舗へ問い合わせれば手配できる余地があります。チェーンが要る行程なら、会社選びの段階でここを見ておく価値があります。
国土交通省は4WD車についても、「大雪の時の峠などでは、4WD車両は重量が大きいため、下り坂で急ブレーキをかけた時に、止まるまでの距離が長くなることから、チェーン規制中はタイヤチェーンを着けていないと通ることはできません」と明記しています。4WDを選んでも規制は免除されません。
チェーンを用意する場合の要件も同省が示しています。装着箇所は「駆動輪にタイヤチェーンを着けることが基本です」とされ、製品は金属チェーンタイプ・ウレタン&ゴムチェーンタイプ・布製カバータイプが挙げられています。自動車用品店などで売られているものであれば問題ないという案内です。
ただし例外が1つあります。「スプレーのように薬剤を吹き付けるタイプのものではチェーン規制中に通ることはできません」とされているので、簡易的なスプレー製品では代用できません。規制区間では手前でタイヤチェーンの装着状況が確認されます。
借りた車のタイヤサイズに合うチェーンを自分で買うのは現実的ではありません。チェーン規制に当たりそうな峠を通る予定なら、チェーンを扱う会社で借りるか、規制が出た時点で迂回・日程変更を選ぶ前提で行程を組むのが無理のない手です。
レンタカーのスタッドレスと4WDに関するよくある質問(FAQ)
標準装備地域で借りればタイヤ代はかからないのですか?
会社によって見え方が変わります。ニッポンレンタカーは対象の地域・期間を「スタッドレスタイヤ全車標準装備(無料)」と案内する一方、「スタッドレスタイヤ標準装備地域・期間のご利用は、冬期シーズン料金が加算されます」とも明記しています。トヨタレンタカーも標準装備期間については「別途シーズン料金を適用させていただきます」という記載です。タイムズカーレンタルはこの負担を独立した項目にしていて、標準装備エリア・期間について「24時間あたり660円(税込)がかかります」(上限は10日間分6,600円・税込)と公開しています。いずれにしても冬の負担はゼロにはならないので、総額は予約画面の表示で確認してください。
東京で借りて新潟へ行く場合、スタッドレスは自動で付きますか?
付きません。標準装備の判定は出発店舗の所在地で行われるため、行き先が雪国でも都市部発なら夏タイヤが基本です。ニッポンレンタカーは降雪地域へのお出かけや乗り捨て利用について「スタッドレスタイヤのお申し込みをお願いいたします」と案内し、装着せず降雪地域へ向かう場合は各都道府県の道路交通法施行細則などに従い「レンタカーのご利用をお断りすることがございます」と記載しています。自分で申し込む前提で予約を組んでください。
4WDにすればスタッドレスは不要になりませんか?
代わりにはなりません。JAFのユーザーテストで2WDが勾配20%の坂を上りきれなかったのは、スタッドレスタイヤを装着した状態での結果です。タイヤが夏用であれば、駆動方式にかかわらず雪上・氷上で必要なグリップが得られません。また同試験では、圧雪の平坦路で時速40kmから急ブレーキをかけた制動距離が4WD・2WDともに約20〜22mで差がなく、勾配9%の下り坂では4WDの方が長くなったと報告されています。順番としてはスタッドレスが先、4WDは急勾配への追加と考えるのが安全です。
チェーン規制に当たったらレンタカーでどう対応すればよいですか?
チェーンを持っていなければその区間は通行できません。国土交通省は「スタッドレスタイヤを着けていても、タイヤチェーンをしていない自動車はチェーン規制中に通ることはできません」と明記しています。対象は直轄国道6箇所と高速道路8箇所の計14区間で、規制は大雪特別警報や緊急発表が出るような異例の降雪時に実施されます。チェーンの貸し出しは会社差があり、ニッポンレンタカーは全国で取り扱いがないと案内しています。規制区間を通る予定なら、チェーンを扱う会社を選ぶか、迂回と日程変更を想定しておいてください。
スタッドレスのオプション料金に上限はありますか?
会社と料金の種類によります。タイムズカーレンタルは標準装備エリア・期間の加算について24時間あたり660円(税込)とし、「利用上限金額は、10日間分6,600円(税込)です」と上限を公開しています。トヨタレンタカーの標準装備地域外のオプション料金はクラス別の24時間単価(乗用・バン2,200円/ワゴン・SUV3,300円/トラック・バス4,400円・いずれも税込10%)で、上限の記載は確認できません。1週間を超える行程では上限の有無が総額を大きく左右するため、申込前に公式の料金ページで確認するのが確実です。料金は改定される前提で見てください。
まとめ|出発地と坂で決める冬の装備

冬のレンタカーで迷う2つのオプションは、判断の順番を決めてしまえば迷わなくなります。
1つめの分かれ目は出発店舗です。北海道や東北、北陸、山陰といった標準装備地域の期間内に借りるなら、スタッドレスの申し込みは不要です。ただしタイヤ代が無料になる代わりに冬期シーズン料金が基本料金に乗るので、明細上の無料を「総額が変わらない」と読まないのが肝心でした。
都市部発で雪国へ向かうなら、スタッドレスは自分で申し込む装備です。行き先が雪国であっても自動では付かず、装備車両はクラスと台数が限られます。ニッポンレンタカーのように、装着せず降雪地域へ向かう場合は貸し出しを断ることがあると明記している会社もありました。
金額を見るときは、2種類の料金を混ぜないのが肝心でした。雪国で借りるときに乗る加算(タイムズは24時間660円・上限10日分6,600円)と、雪のない土地で借りて雪国へ向かうときのオプション(トヨタは乗用・バン2,200円など)は、発生する場面が違います。自分の出発店舗がどちらに当たるかを先に決めてから、金額を比べてください。
2つめの分かれ目は坂です。JAFのユーザーテストでは、勾配9%の坂は4WDも2WDも上りきれた一方、勾配20%ではスタッドレスを履いた2WDがスリップして上りきれませんでした。宿や駐車場が山の上にあるなら4WDの追加料金に意味があります。
ただし4WDは止まる性能を買う装備ではありません。圧雪の平坦路での制動距離は4WDと2WDでほぼ同じで、勾配9%の下り坂では4WDの方が長くなっています。装備を足しても、速度を落として車間を取る運転が前提です。
そしてチェーンです。スタッドレスを履いていてもチェーン規制中の区間は通れません。対象は14区間に限られますが、貸し出しのない会社もあるため、規制が出る可能性のある峠を通るなら会社選びの段階で確認しておく必要があります。
料金・装備期間・在庫はいずれも変更されます。本記事の数値は各社と公的機関が公開している内容をもとにした目安として扱い、正確な情報は公式サイトをご確認ください。貸渡条件や補償の適用について迷う点があれば、最終判断は各レンタカー会社・保険会社へ直接確認してください。
冬の予約は「出発店舗が標準装備地域か」→「急勾配の登坂があるか」→「チェーン規制区間を通るか」の3問で装備が決まります。この順で確認すれば、払う必要のない追加料金も、足りない装備も避けられます。
出発店舗ごとに扱う装備も料金も違うので、日程が決まっているなら早めに条件を見比べておくと選びやすくなります。